乙女峠から見る富士山

明治初期のお雇い外国人、チェンバレンの日本案内に『富士を見るなら乙女峠』とあるとウェストンも記述しています。静岡県御殿場市と神奈川県箱根町の境に位置する箱根外輪山にある、峠の名称です。孝子の伝説や悲恋の純情乙女の伝説でも知られています。

美しい富士ですが、籠に乗せられている女性はぐったりして富士どころではない様です。籠は現代の私たちからは想像出来ない程乗り心地が悪い乗り物でした。右の馬を引きつれた女性との対比が面白い。明治25年ここを経由し富士登山に向かいました。


大正期発行

同じ乙女峠でも上ののユニークな絵葉書と打って変わって、郷愁溢れる絵柄です。峠で休息する旅人と言った感じです。ウェストンの文章は、けっして美文と言う物ではありません。峠道、街道、街並の息吹きを飾る言葉でなく、知識をひけらかす事も無く淡々と書き綴っています。感動的な景色であっても、街道で出会った子供であっても同じ比重で書かれています。逆に簡素さが、後になってグイグイと深く心に食い込んで行きます。

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